QBSH2022
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育,尊厳,人権の尊重といった人間開発の主要要素に関する格差は,所得と資産の格差を見ただけでは分からないおそれがある.5× 人間開発格差の是正には2つの政策目標があり,第1に,基本的能力の格差縮小を加速しつつ,拡張的能力の格差拡大を反転させ,ジェンダーなどの(水平的)格差を解消することである.第2に,市場での公平性と効率を共に前進させ,所得向上が多くの人々に幅広く行き渡る形で生産性を向上させることで,所得格差を是正することである.第1の所得だけでなく,能力も増大させる政策は,税金で賄われることになる.第2の公平性と効率を同時に前進させる例は独占禁止政策である.これによって,企業が市場の力を利用できる能力は抑えられ,競争条件が平準化して効率が向上する.  イギリスの社会保障の歴史は確実に覚えておくこと.その間で実施された貧困調査であるロンドン調査とヨーク調査も概要をつかんでおくべきである. 1○ 『新救貧法』の特徴は,❶院外救済禁止の原則,❷劣等処遇の原則,❸救済水準の全国的統一の原則,である.劣等処遇の原則は,被救済貧民の生活水準は,自立労働者の最低生活水準以下でなければならないということである.2× パンの価格と世帯人数によって世帯の最低生活水準を算出し,不足分を救貧税から支給したのは,1795年のスピーナムランド制度である.3× 貧困の原因が個人的な欠陥や怠惰によるものではなく,社会的要因が大きく関わることを明らかにしたのは,ブース,C.の1886年のロンドン調査である.4× 院外救済を認め,労役場を無能貧民の救貧院としたのは,1782年の『ギルバート法』である.新救貧法では,再び院外救済を禁止した.5× 社会保障とは5つの巨悪,すなわち窮乏(欠乏),疾病,無知,不潔,怠惰(無為)への対応としての所得保障,保健,教育,住宅および雇用制度の総称であるとしたのは,1942年のベヴァリッジ報告である.  福祉政策の用語を整理して理解しておく必要がある.負の所得税については初めて問われた.この機会に覚えておくこと.また,介護保険制度に関して,日本と海外で比較しておくとよい.1× 現金給付は,利用者に金銭を給付することであり,現物給付は利用者にサービスを給付し,費用を事業者等に支払うことである.現物よりも現金の方が,利用者は使途を自由に選択することができる.2× バウチャーは,現金ではなくある目的に応じた利用券等を渡すことである.バウ チャーを給付した方が,利用者が本来の目的以外に使うことを妨げる.3○ 日本の介護保険制度には,金銭給付の仕組みはない.家族介護者に対して現金給付の仕組みがあるのはドイツ,フランス等である.オランダでは現金が振り込まれ,それを使用してサービスを利用する.また,韓国でも「特別現金給付」と呼ばれる制度がある. 666解法の要点解法の要点解 説解 説解法の要点解法の要点解 説解 説【正答率】41.4%【選択率】1:20.8% 2:41.4% 3:7.1% 4:16.8% 5:13.9%33-2533-26正 解 2正 解 1【正答率】63.0%【選択率】1:63.0% 2:8.7% 3:11.9% 4:8.6% 5:7.8%

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