正解:4
【解法の要点】
『認知症基本法』は,2023(令5)年に制定され,2024(令6)年1月に施行された新しい法律である.認知症施策に関し,基本理念を定め,国や地方公共団体等の責務を規定している.概要をおさえよう.
【解説】
1✕ 選択肢は,『老人福祉法』の目的条文である(第1条).『認知症基本法』は,認知症の人が尊厳を保持しつつ希望をもって暮らすことができるよう,認知症施策を総合的かつ計画的に推進し,もって認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し,相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(共生社会)の実現を推進することを目的とする(第1条).
2✕ 年齢を問わない.『認知症基本法』において認知症とは,アルツハイマー病その他の神経変性疾患,脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態をいう(第2条).
若年性認知症の人(65歳未満で認知症となった者)の就労に関する啓発及び知識の普及などの施策を講じることも規定されている(第16条第2項).
3✕ 義務ではなく,努力義務である.保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者は,国及び地方公共団体が実施する認知症施策に協力するとともに,良質かつ適切な保健医療サービス又は福祉サービスを提供するよう努めなければならない(第6条).
4○ 公共交通事業者等,金融機関,小売業者その他の日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスを提供する事業者は,認知症施策に協力するとともに,サービスを提供するに当たっては,事業の遂行に支障のない範囲内において,認知症の人に対し必要かつ合理的な配慮をするよう努めなければならない(第7条).
5✕ 政府は,認知症施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,認知症施策推進基本計画を策定しなければならない(第11条第1項).なお,高齢社会対策大綱は,政府が推進すべき高齢社会対策の指針として定めなければならない(『高齢社会対策基本法』第6条).