正解：1，2

【解法の要点】
『少年法』及び少年非行に関する基本的理解が問われている．『少年法』が2021（令3）年に改正されたため，重要視されている．成人に適用される『刑法』と比較しながら学習することで，少年司法の目的を深く理解することが求められる．

【解説】
1〇　『少年法』は，少年の健全な育成を期し，非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに，少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としている（第1条）．少年司法は福祉（教育）的機能を有しており，非行の内容や個々の少年が抱える問題に応じた教育的な働きかけを行うことで再犯防止と社会復帰の実現を目指している．少年司法が教育による改善を図っている理由として、少年は可塑性（かそせい）（変化しやすい性質）が高いことが挙げられる．　

2〇　触法少年及び14歳未満の虞犯少年に係る事件は，『児童福祉法』の措置が優先され，児童相談所が関与する（『児童福祉法』第25条第1項）．原則として，触法少年及び14歳未満の虞犯少年については，家庭裁判所は都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り，審判に付することができるという，児童福祉機関先議主義に基づく（第25条，『少年法』第3条第2項）．　

3✕　特定少年は，18，19歳の少年をいい（第62条第1項），『少年法』が適用される．全件が家庭裁判所に送致され（第42条），家庭裁判所が処分を決定する．　

4✕　少年司法は，司法的機能に加えて，解説1のとおり，福祉（教育）的機能を有する．

5✕　14歳未満の年少者の可塑性や判断能力の不十分性を考慮した刑事政策的な理由から，14歳未満の者（刑事未成年）は責任能力が否定され，処罰されない（『刑法』第41条）．