第31回国試へ向けて

国試へ向けた勉強法のアドバイスを,丸田秋男先生にいただきました!


これまで一貫して,合格に向けた道しるべを行ってきました.

①科目ごとに出題基準(大項目・中項目・小項目)と出題実績を把握する
②過去問を確実にマスターする
③法制度の動向や白書,各種調査統計等(以下「法制度等」という)の概要を覚える

これが合格への3原則です.前回は,合格までの道程を登山に例えて,国試という「高い山」の登り方を示しました.

 

ところが,平成30年2月の第30回国試では,その山の高さ(合格基準点)が前回の86点から99点と,1.15倍になりました.受験生は,合格基準点は一定ではなく,問題の難易度で毎年上下することは知っていますが,今回の結果には多くの人が戸惑いを覚えました.

(一社)日本ソーシャルワーク教育学校連盟の会長談話(平成30年3月15日発表)においても,受験料の値上げによる受験者数の減少や,これまでの合格ラインを大きく上回る得点でも不合格になったことによるイメージダウン等を指摘し,合格基準を絶対基準に見直すよう求めています(http://jaswe.jp/20180315danwa.html).

 

では,このような状況の下で,第31回国試に向けて,どのように対策を立てていけばいいのでしょうか.国家試験受験資格取得を卒業要件とし,能力や成績にかかわらず,全員が資格取得を目指す本学では,122人が受験し83人が合格しました(合格率68.0%).国試をめぐる環境が変わっても,全員合格を目標にする国試対策のポイントを紹介します.

第30回国試を全問解いてみる

第30回国試を全問解いてみましょう.一問一問解くことを通して,解答できる自分の実力(知識)を点検します.このとき,①確実に理解している知識②理解が曖昧な知識③理解していない知識を区別し,②理解が曖昧な知識③理解していない知識をマイノートに書き出します.

「勉強方法がわからない」という質問が寄せられますが,直近の国試を全問解き,何を覚え,何を理解しなければならないかを知ることから始めます.

出題基準と出題実績を把握する

次に,実際に解いた第30回の問題と出題基準の関係性を見てみましょう.参考書『RB』の10~31ページに出題基準が載っています.例えば,「人体の構造と機能及び疾病」の問題1は中項目「身体の成長・発達」から,問題2は中項目「身体の成長・発達」からの出題になっています.

また,『RB』の本文では,過去の出題実績が右肩添え(29-1-2,3など)で記載されていますので,10年分の過去問と出題基準・出題実績との関係を把握することができます.

過去問を確実にマスターする

過去問学習は,国試対策の基本です.『QB』を活用して確実にマスターしましょう.問題文を丁寧に読み,まず「主語は何か」「問われていることは何か」を理解します.

正誤の判断にあたって,理解が曖昧な知識や初めて知った事項等については,下線を引く,マーカーを付すなどして,マスターする事項を明確にします.解説の末尾に『RB』の参照ページが記載されていますので,問題を解いた後に『RB』で確認することで,知識の定着を助けます.

法制度等の概要を覚える

もう一つのポイントは,法制度等の概要を覚えることです.法制度等に関する出題は,毎年,5~6割を占めており,第30回も同様でした.『RB』は,直近の法改正に対応するとともに,白書や調査統計等についてはいつのデータなのか明示しています(例:「平成29年版厚生労働白書」や「平成27(2015)年度社会保障費用統計」など).

法制度等の概要や最新の統計データを確実におさえることが,合格の可能性を高めます.過去問をふまえ,繰り返し出題される内容をしっかり学習します.

社会福祉士を目指す皆さんへ

これまで述べたように,合格への定石は過去問学習と法制度等を確実にマスターすることです.そのためには,『QB』による過去問学習を繰り返します.目標は3回です.理解が曖昧な知識や初めて知った事項については,『RB』に書き込みを入れ,マーカーを付した『MyRB』をつくるのも効果的です.

来年の第31回国試では,問題の難易度が修正されると思われますが,今回の結果に惑わされることなく,「社会福祉士になる」という目標に向かって前進してください.

執筆者PROFILE

丸田秋男 Maruta Akio

現職 新潟医療福祉大学副学長(社会福祉学部長)
最終学歴 新潟大学大学院現代社会文化研究科博士課程修了
職歴 新潟県福祉保健部障害福祉課参事
学会 日本地域政策学会副会長
資格 社会福祉士
委員 新潟県生涯学習審議会会長,新潟市社会福祉審議会委員長など
業績 社会福祉士受験資格取得を卒業要件とする社会福祉学部(入学定員120人)を,国家試験合格率等で全国トップクラスに導いたプロフェッション教育の第一人者
その他 『クエスチョン・バンク社会福祉士国家試験問題解説』
『社会福祉士国家試験のためのレビューブック』の執筆・監修者