病院のMSW Nさん
医療ソーシャルワーカー(MSW)
ってどんな仕事?
社会的な支援を必要としている人とその環境に働きかけを行う専門職のことをソーシャルワーカー(SW)といい、医療機関で働くSWのことを「医療ソーシャルワーカー」もしくは「メディカルソーシャルワーカー」と呼びます。
病院での仕事は、患者さんやそのご家族からのご相談、福祉制度の案内、転院調整、他機関との連携などを行い、面談を通して信頼関係を構築し、アセスメントして問題を解決できるように支援していきます。
■MSWの主な仕事内容
・療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
・退院調整
・受診・受療援助
・社会復帰援助
・経済的問題の調整
・多職種・地域との連携
私が勤務していた大学病院では、来院の時点で取り巻く環境が整っていない患者さんが多かったです。例えば、医療費が払えるか心配している方、身寄りがいない方、オーバーステイの外国人、保険料未納の方、飛び込み出産(妊婦検診を一度も受けていない妊婦が産まれる間際に初めて医療機関を受診し出産すること)など患者さんがそれぞれに問題や悩みを抱えていました。
病院に従事するMSWは、そのような患者さんやそのご家族の支援を多職種と連携して行っています。
■MSWになろうと思ったきっかけ
私は曾祖母、祖父母を含めて8人の家族のなかで育ちました。高齢者が身近にいる生活だったためか、いつかは高齢者のためになる仕事に就きたいと思うようになりました。
大学で社会福祉を専攻し、勉強していくうちに高齢者だけでなく、幅広い年齢の方と関わりたいと思うようになり、多くの年代の方が集まる病院のMSWを目指すようになりました。
■MSWの仕事のやりがい
SWの仕事をしている実感がわくのは、患者さんやそのご家族と面談しているときです。
それぞれの患者さんのご事情に合わせ、利用できる制度を探し、面談する方の年齢や理解度に合わせて難しい制度を分かり易く説明して手続きをとることは、思った以上に難しいことでしたが、患者さんのご希望通りの制度を利用できるようになったときは、一緒に喜びました。また、初回の面談時に不安で涙を流されていた患者さんが、笑顔で転院されるのを見たときにもとても嬉しく、やりがいを感じました。
他にも、医師、看護師、リハビリスタッフ、医療事務スタッフや地域の多職種との連携が必須になるため、多方面から刺激を受けて成長していけるところが魅力的だと思っています。
■MSWを目指す方へ
大変な業務も多く、時にはジレンマを感じることもありますが、患者さんやそのご家族、病院を支えるために絶対に必要な職業だと思っています。来院される患者さんのなかには、身体の治療だけでなく、他のサポートも必要とされている方がいらっしゃるからです。
SWがもつ相談援助技術で、患者さんやそのご家族が安心して治療を受けられる環境づくりができるように、力になってみましょう!